bernanke-cartoon多くの投資家にとって、金はインフレーションに対するヘッジとして、また不況や戦争のときの資金の逃避先として重要な存在だ。一方でビットコインは今や主流に近い存在まで成長し、金と似た性質(希少性、政府の影響が直接及ばない)を多く備えている。最悪のとき、あなたを守ってくれるのは?
世界最大の英文ビジネス誌フォーチュンがWeb版の記事で、ビットコイン(Bitcoin)と金の2者を比較した。


価値の貯蔵手段
採掘可能なビットコインの総量は2100万BTCであるのに対して、採掘可能な金の総量はより複雑だ。時間と共に金の供給量の増加率は毎年およそ1-3%ずつ増えている。短期的には、新しい金鉱山の発見によって金の価格は変動する可能性がある。ビットコインは新しいテクノロジーなので、今は金よりも高いボラティリティーにさらされている。しかし長期的には、ビットコインの場合2100万BTCが採掘されるとそのあと新しいビットコインが発行されることはないので、最終的に金よりも価値の貯蔵手段として役割を果たすと期待できる。

判定:ビットコイン

没収される危険性
大規模な社会的混乱や不況が発生した場合、政府が個人資産を差し押さえるリスクは今もある。実際に大恐慌が起こった1933年および1934年、米国政府は金を個人が所有するのは違法として、大統領令によりそれを押収した。金に対するドルの価値を切り下げることが目的だったため、 金の保有者はその資産を補償されたものの、弁償は十分ではなかった。
このようなときビットコインを持っているほうが安全だろうか。もし政府があなたの金やビットコインを奪おうとするなら、そしてそれにあなたが抵抗しようとするなら、どちらにしろあなたは法を犯すことになるだろう。それでも政府に従わないことにした場合、金のほうがやや難易度が低いかもしれない。ビットコインをブロックチェーンで追跡できないように買う方法があることはあるが、現金で金を購入し政府に報告しないほうが簡単だろう。

判定:金

最悪の事態が起きたときの逃避先
もし第3次大戦が起きると予想した場合、ビットコインが金よりも優れているとは考えにくい。ビットコインはインタネットに依存しており、電力網やオンラインコミュニティから切り離された場合、例えオフライン上に物理的に保管していたとしてもビットコインは無価値になるだろう。

判定:金

利便性
抑圧的または無責任な政府のもとでも、インターネットにアクセスすることができればビットコインは役立つだろう。ビットコインはアルゼンチンのような場所で人気を博している。通貨の運営に失敗し、アルゼンチン経済は慢性的なインフレーションに苦しんでいる。こういった状況では金よりもビットコインのほうが代替手段として有効だろう。物理的に金を保有するための保管・輸送コストはビットコインのそれを大きく上回る。

判定:ビットコイン

結論
どちらが勝者だと宣言するのは難しい。金とビットコインの価値は、政治的なイベントがどう展開するかという投資家の予想によって決まる面が多く、投機的だ。政治的なイベントは企業の収益を予想するよりもさらに困難で、多くのエコノミストや金融アドバイザーが、金やビットコインのようなオルタナティブ投資は資産のうちのほんのわずかにとどめるようにとアドバイスする理由はここにある。
だからといって、金やビットコインが無価値だということではない。
政府が受け入れ法的枠組みに組み込まれるまで、ビットコインが十分に普及することができれば、今のところ600ドル前後にあるビットコインの価格は安いといえるかもしれない。


Fortune