756-holding-earth-wallpaper-1920x1200-customity仮想通貨が今後どのように発展していくかを考える上で、法規制・税制度は外せない。世界各国の規制当局のスタンスは?

アイルランド
公式な声明はないが、課税方法を検討しているとされる。

アメリカ 
米財務省FinCENは、個人の採掘者と投資家が為替業務取扱業者ではないことを明らかにした。個人の採掘者と投資家は、MSB(Money Services Business)として登録することなしに、取引所で換金もしくはそのままビットコイン(Bitcoin)を使用することができることができる。ニューヨーク州金融監督局(DFS,Department of Financial Services)は、ニューヨークで操業する仮想通貨関連企業に対する規制の枠組みを2014年中に提案する計画だ。
FinCEN 

アルゼンチン
法定通貨としては認められていないが、国内での利用が増加している。 

イギリス 
英国歳入税関庁(HMRC)は、2013年12月にビットコインをバウチャーとみなすこれまでの見解を撤回した。課税方法を変更する計画だといわれる。英国政府はビットコインに対するスタンスを公式に明らかにしていない。

イスラエル

2014年2月19日、中央銀行は関連当局とジョイントで声明を発表。仮想通貨は法定通貨ではないとし、不正使用しようされやすいことなどを指摘した。“仮想通貨は中央銀行によって発行されたものではないし、通貨の価値を保証する中央銀行が存在しない。”“イスラエル国内では法定通貨ではない。そのため任意の資産またはサービスの決済手段として、または金融ローンの返済方法として受け入れる必要はない。”ビットコインに関わるサイバー犯罪の調査を開始している。
Bank Of Israel

イタリア
基本的にEUと同様のスタンスを取っている。

インド
2013年12月、インド準備銀行(RBI)は、ビットコインを含めた仮想通貨の金融、運用、法律について顧客保護とセキュリティーに関連するリスクを使用者や所有者、トレーダーに警告。その数日後、インド規制当局(ED, Enforcement Directorate)は、外国為替管理法(FEMA)に違反する疑いがあるとしていくつかのビットコイン関連企業へ強制捜査を行った。その一方で2014年1月新しいビットコイン取引所がオープンしている。
Reserve Bank Of India

インドネシア

インドネシア銀行(中央銀行)の副総裁は、2014年1月16日、インドネシア国内におけるビットコインの使用は、中央銀行による規定、電子商取引法や外国為替法に違反する恐れがあると述べ、支払い手段としてビットコインを使用しないように強く訴えていた。一方で、ビットコインを管理をするための詳細な政策がないこと、支払い手段としてのビットコインの使用を禁じる具体的なルールがないことも認め、通信情報省とともにインドネシアにおける暗号化通貨の使用について調査を開始したと発表していた。そして2014年2月6日、インドネシア銀行(中央銀行)は、“いくつかの法律を踏まえると、ビットコインやその他の仮想通貨はインドネシア国内において通貨ではなく、合法的な決済手段でもない。ビットコインやその他の仮想通貨に対する慎重な姿勢を推奨する。”という内容のプレスリリースを発表した。見方によってはインドネシア国内でのビットコインの利用の全面禁止ともとれる。
Bank Indonesia

EU(欧州)
欧州銀行監督機構(EBA)は、2013年12月仮想通貨に対する声明を発している。EBAは、仮想通貨が規制されていないがために、その使用によって消費者が曝される潜在的なリスクを警告。仮想通貨の使用で課税される可能性を指摘した。
European Banking Authority

エストニア
エストニアは“Bitcoin”というワードを世界で2番目に多くグーグル検索している国だ。2014年1月、エストニア中央銀行の当局者はブルームバーグのメールに応じる形で、ビットコインやその他の仮想通貨はねずみ講と同質のものである可能性を警告し、頼るべき制度や組織がないためユーザーは全てのリスクを背負うことになると述べている。
Bloomberg

オーストラリア

ビットコインに対する課税を検討中。2013年10月にはオーストラリア国内のビットコインの銀行がハッキングされている。その被害額はおよそ1億円(100万ドル)超。

オランダ

2013年12月、オランダ中央銀行(De Nederlandsche Bank, DNB)は、仮想通貨や仮想通貨を取引する企業を監督しないことを明らかにすると同時に、仮想通貨購入による潜在的なリスクに対する注意を呼びかけた。
De Nederlandsche Bank

カナダ
2013年に世界で初めてビットコインATMを導入。ビットコインは法定通貨ではない。 取引でビットコインを使用すると、物々交換や投機的購入とみなされるため、税金を払う必要がある。米国と異なり、カナダの金融当局はビットコイン取引所を金銭関連業務を提供するMSB(Money Services Business)としてみなしていないため、ライセンスを得る必要もなく、疑わしい取引の報告義務もない。

韓国
公式な声明はない。

キプロス

昨年11月キプロスのニコシア大学は授業料からカフェテリアの支払いまですべての決済にビットコインが使用できることを発表。仮想通貨に関する修士コースもスタートした。
12月、財務大臣は“キプロス危機がキプロスを金融革命の中心に変えうるだろう、ビットコインはその証だ。”と述べていた。しかし今年2月7日、キプロスの中央銀行は仮想通貨に関して“適法性を確保できない限り、いかなる活動も正当性は認められない。必要なライセンスの取得なしに活動することは法に抵触する可能性がある。”と声明を発表。仮想通貨に警鐘を鳴らした。
Cetral Bank Of Cyprus

ギリシャ

ビットコインを取り扱うビジネスは僅かばかりあるものの、これまでのところ当局は無視している。

クロアチア

法定通貨ではないものの、合法的に使用することができる。将来的には規制が設けられる可能性がある。

シンガポール
ビットコインについて投資家に警告したが、ビットコインの使用を禁じていない。ビットコインを売ったり換金して、その対価として金銭やそれと同等のものを得た場合は、物品サービス税として課税対象となる。ビットコインの長期投資、ビットコインの決済への利用は非課税。
Yahoo!FINANCE Singapore

スペイン
公式な声明はない。

スロベニア
公式な声明はない。

タイ
既存の法律が適用されないため、違法とも合法ともはっきりしていない。

台湾
2013年12月、台湾中央銀行副総裁は“ビットコインは国の金融当局によって発行されたものではない、電子通貨に従来の通貨のような法的保護や法定通貨は電子通貨にない。”と述べている。2014年1月にはビットコインのATMロボコインの導入が計画されていたが、日本の金融庁に相当する台湾の金融管理監督委員会(以下FSC, Financial Supervisory Commission)が認めず、計画は中止となった。

中国

2013年12月5日、中国人民銀行(PBOC)は“金融機関と決済機関はビットコイン関連の取引を行うべきではない”との声明を発表。その後中国人民銀行と10社以上の第三者決済機関との間でミーティングが設けられ、人民銀行当局者は第三者決済機関によるビットコインの決済サービスを禁じ、来年の1月31日から始まる中国の旧正月までにサービスを終了しなければならないと提言した。今年1月15日、中国人民銀行の盛松成調査統計局長は記者会見で、“ビットコインを抑圧する意図はない、ただビットコインは通貨ではないと述べているに過ぎない。”と述べている。国内で人々はビットコインを自由に売買できるとされている一方で、金融機関と決済機関の取引については警告を発している。

チリ
ビットコイン入手に対する関心は徐々に増えているが、ビットコインの使用に規制はなく、取引は非公式で主に仲間内でやり取りされている。2013年、アメリカのリバタリアングループがビットコイン経済を軸としたオーガニック農業コミュニティを設立した。

デンマーク
2013年12月17日、金融監督庁(FSA)は通貨としてのビットコインを否定する声明を発表。ビットコインユーザーへ仮想通貨に関わるリスクを警告する一方で、既存の規制の対象外であることを認めた。
The Danish FSA

ドイツ
法定通貨としてではなく、外国為替と同様に扱う。
BaFin(連邦金融監督庁)

トルコ
当局は既存の法律が適用されないビットコインの使用に警鐘を鳴らしている。

ニカラグア
公式な声明はない。

日本

ビットコインの使用を規制する法律はない。日本銀行の黒田総裁は、2013年12月、“私どもも大いに関心を持っている。各国の中央銀行も正直言って、その動きを注視している。日銀も金融研究所を中心に十分、調査、研究をしている。”と述べた。全国銀行協会の國部毅会長(三井住友銀行頭取)は、利用者保護の観点から適切な規制を検討する必要があるという見方を示している。大手取引所Mt.Goxの拠点にも関わらず、規制当局は沈黙したままだ。
日本経済新聞

ニュージーランド
ニュージーランド準備銀行(Reserve Bank of New Zealand,RBNZ)はウェブサイトのQ&Aで、物理的な通貨発行をともなわなければ、ビットコインのような通貨を規制しないことを明らかにしている。
Reserve Bank of New Zealand

フィンランド
2014年1月、フィンランド中央銀行の高官は法定通貨としてのビットコインを否定した。“ビットコインは通貨の定義に該当しない。また運営責任者がないため決済手段にも該当しない。”と述べた。フィンランド国内でのビットコイン決済は禁じられていない。これまでのところ、ビットコインはコモディティに相当するという。
税務当局のガイドラインによると、ビットコイン投資による損失は課税控除されないが、ビットコインを他の通貨に両替して得た利益にはキャピタルゲイン税が適用される。採掘したビットコインについては所得税を払う必要がある。ビットコインによるモノの購入は交換として扱われる一方で、ビットコインの価値上昇によるいかなる利益も課税対象となる。
Bloomberg
Finnish Tax Administration

ブラジル
2013年10月に電子通貨に関する法が可決している。

フランス

中央銀行は2013年12月、投機的であることを批判し不正取引への使用を警告。
2014年1月、ACPR(金融機関の監督を担当するプルーデンス規制・破綻処理庁)は、ビットコインの売買仲介業者や販売業者を通常の決済機関と同様に扱うことを発表。フランス国内で操業するビットコイン取引所は、決済機関としてACPRの承認を受ける必要がある。
Banque de France
ACPR

ベルギー

財務大臣が現時点でビットコインのシステムに対する政府の介入の必要性をみられないとの考えを示している。

香港

ビットコインや仮想通貨を直接的に制限する規制はない。金融国庫局長官は、“詐欺やマネーロンダリングなどの不法行為にビットコインを使用することは既存の法律のもと禁止されている”とコメントしている。
Financial Services and the Treasury(金融国庫局)

ロシア
2014年1月、ロシア中央銀行はビットコインの使用は刑事罰に問われる可能性があるとして電子通貨に警鐘を鳴らした。ロシア検察当局は、“ロシアの公式通貨はルーブルであり、ビットコインやその他の仮想通貨、それらを用いた匿名の決済システムを個人や法人が使用することはできない。”とウェブサイトで発表している。仮想通貨を用いた違法活動の防止や具体的な法規の設定等に関して、関係当局と協議中。
Prosecutor General of the Russian Federation

ポーランド
基本的にEUと同様のスタンスを取っている。課税方法を検討中。

ポルトガル
ポルトガル銀行は、安全な通貨とはみなさないが、仮想通貨と法定通貨間の売買ができること、物やサービスの購入に仮想通貨が使用できることを2013年11月に明らかにしている。
Banco de Portugal

マルタ共和国
公式な声明はない。2012年10月にビットコイン初のヘッジファンドが設立している。

マレーシア

2014年1月、マレーシア中央銀行(BNM, Bank Negara Malaysia)は、電子通貨を法定通貨とは認識しないと表明。ビットコインのオペレーションを規制しないものの、ビットコインに対する規制当局の懸念を強調した。
Bank Negara Malaysia